妹の身代わりで嫁いだ姫は、ヤンデレなはずの皇王にとろ甘に溺愛される(旧 ヤンデレ皇王のつがいはデレ改革をお望みです ~加虐系ヤンデレはデレデレにデレチェンジ~)
「お嬢さん。魔力をこやつに流しながら、あたしに神力を投げてみな」
「え!?」
「ほら。早くするんだよ」
「えぇ……?」

 困惑するシルディアだったが、意を決しごくりと喉が鳴った。
 握ったままのオデルの手に魔力だけを流す。
 真剣に手を握るシルディアの耳に感嘆が聞こえた。

「初めてだとは思えないほど上手だな。魔法騎士でもここまでスムーズには魔力移動できないぞ」
「お世辞を言ってもなにも出ないわよ。片方だけなら何とかなるけれど、神力もって難しいわ」

 眉間にしわを寄せてシルディアは体内の神力をなんとかアリスへと向けようとする。
 しかし、神力は言うことを聞いてはくれない。魔力を少なくしようとしても、それだけでは神力をアリスへと向けることは出来なかった。

「神力を使った時のことを思い出すんだよ。神力は癒しの力。神力の使える聖女が治って欲しいと思わないと使えないのさ」
「そういうことはもう少し早く言ってほしいわ。アリスさんを治すイメージで扱えばいいのね」
「! 呑み込みが早いね。魔力と神力。両方使い分けできてるじゃないか」

 舌を巻いた様子のアリスへとシルディアが視線を向けると、彼女の周りにキラキラとした白い光が集まっていた。
 それはまるでオデルを初代竜の王から取り戻した時のような光景だった。
 違う所といえば辺り一面を覆い隠すほどの光が無いぐらいだろう。
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