ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
 彼女は、異世界からこちらに召喚されてすぐに膨大な魔力があることが分かっていたらしい。聖女としても、エミはかなりイレギュラーな存在だった。
 だからこそ、先の戦争ではエミは最前線に駆り出された。根が優しい彼女は、早く戦争を終わらせるべく要求された通りに聖女としての仕事をこなしていく。
 最初のうちは多少感謝されていたエミだったが、やがて彼女のまわりの人々はそれに慣れてしまったのだという。

 その上、聖女エミをまるで自分の所有物であるかのように命令する第一王子のエミへの態度は、かなりひどいものだった。騎士たちも、戸惑いながら第一王子には逆らえず、エミにはつらく当たった。

『聖女だからこれくらいできて当然だ』
『強すぎる魔力を持ったバケモノめ』
『異世界から来たお前なんて、戦争が終われば役立たずだ』

 もう一人の聖女サクラや第二王子のロイはエミを庇ったが、エミの心はだんだん摩耗していった。
 ついに聖女エミの貢献で戦争が終わったが、戦争の勝利の功績は、全て第一王子とその騎士団の手柄として書き換えられたため、ますます彼女の影は薄くなっていく。
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