冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
「失礼します……、」
病室の中は患者1人の、個室部屋にわたしのお父さんは長らく入院している。
これまで無理にでも会いに来ようとしていなかった手前、本当は顔を合わせるのが相当気まずい。
……けど。
「こんにちは。よく来てくれたね」
───…父さん、嬉しいよ。
と、涙ぐみながらそう言われると。
さっきまで感じていた息詰まり感が綺麗に消えてなくなっていった。
「お父、さん……。久しぶりだね」
「うん、本当に」
「………」
「……、元気にしていたか?ご飯はちゃんと食べれているか?ちゃんと温かい布団で毎日──、」
「お、お父さん……!1つずつ質問してくれないと分からないよ……っ。落ち着いて!」