HONEYHOLIC(3)リゾートシンデレラ~十月十日の結婚生活。ひと夏の偽恋人でしたが、双子を授かりました~
「・・・私と恋良は双子だけど別々に育ったから…恋良の事は余り知らないの…」

「あ・・・」

そう言えば、顔は瓜二つなのに、苗字が違う。

「話せば…長くなるんだけど…私たちの父は二十年前…強盗殺人の容疑者として逮捕されたの…後で別件の強盗事件で逮捕された男性は犯人だと判明したけど…メディアの報道は酷かった…私たち家族はネット民にありとあらゆる情報を世に晒され、誤認逮捕だと分かっても…家族に対する世の目は冷たかった。私たち家族は家を失い、父は職を失った…」

「・・・」

「それが原因で父は自殺…母と残された私たちの生活は貧しかった…母は生活の困窮から私たちのどちらかを施設に預ける事にした。本当は私が預けられるはずだったけど…恋良が自分から志願した。私たち双子は離れ離れになった。ほどなくして、母は別の男性と結婚…その男性との間に子供が産まれた…でも…母はその男性に遠慮して、恋良の存在を話せなかった…」

「二人とも施設暮らしだと思っていた…」

「・・・ううん…私は何不自由なく育った…いつか三人で暮らすのを夢見ていた恋良には今でも申し訳ない気持ちで一杯なの…」

< 86 / 177 >

この作品をシェア

pagetop