惚れた弱み
3月初旬。
大学の合格発表の日。
ドキドキしながら博孝はPCで大学のHPを開いた。
受験番号を入力し、1度、深呼吸をしてから、ボタンを押した。
”あなたは「合格」です”
その文字を見た瞬間、ガッツポーズをした。
努力が報われた。これで無事、第一志望の大学に通える。
県内にある国立大学。
実家から通えないことはないが、入学することになるなら、独立して一人暮らしをしようと思っていた。
――入学までの残りの期間で、部屋探ししなきゃだな。
さっそく、家族にも報告し、お祝いをした。
先に第一志望の大学に合格していた夏樹にも連絡し「おめでとう」と言ってもらった。
――橋本ちゃんにもお祝いしてもらえたら、最高だったんだけどな。
諦めが悪いのは自分でもわかっていた。
でもどうしても、菜々のことが忘れられない。
――落ち着いたら、夏樹に頼んで、また4人で遊びに行く機会でも作ってもらうか。それまで、橋本ちゃんに対するこの気持ちは、大事にとっておこう。
そう思った次の日。まさかの出来事があった。