惚れた弱み
2人並んで公園の中の遊歩道を歩く。
3月に入ったが、まだ空気が冷たいからか、公園には、疎らにしか人はいなかった。
沈黙したまま、歩みを進める。
――なんて切り出そう?とりあえず、ベンチにでも座って話した方が…
「…っ先輩!」
そう言われ、振り向こうとした瞬間、後ろから菜々に抱きつかれた。
「え!?ちょ…橋本ちゃん、どうしたの!?」
状況が理解できず、博孝は慌てた。同時に、菜々に密着されているこの状況に、心拍数が急激に上がるのを感じた。
菜々は、そんな博孝の様子など、お構いなしの様子で言葉を続けた。
「好きです…先輩。離れたくないっ…」
「え!?」
――今、なんて言った!?
好きです。
確かにそう聞こえた。
ずっと菜々から言って欲しかった言葉が急に出てきたので、にわかには信じられなかった。