肉を斬らせて骨を断つ
腹部に刺さった刃物を抜かれる。酷い痛みにそのまま崩れるように地面へ転んだ。
暗くなり始めた空が見える。
いたい。意識がとびそう。誰か。
純玲、ごめん。
ごめんね。
「フジコ……」
お母さん。
お母さん、どこにいるの。
「おか、あ」
かは、と自分の口から血が出た。慣れた鉄の味。
その後のことはよく覚えていない。ただ暗い空の向こうを、花火が上がる音が聴こえた。
約束、破っちゃったな。
純玲は待ってくれてたかな。
案外、友達が通ってそっちと合流したんじゃないかな。
そうだと良いな。
純玲にとって楽しい思い出になったら良い。