肉を斬らせて骨を断つ

「な、」

なんでここに、と思う。

「矢野から聞いた」

雲母には軽く連絡した。再試で大学に行ったら記者がいたと言っていたので、それとは関係なく盲腸で入院したと答えた。病室も言ったっけ。よく思い出せない。

「大丈夫か?」

いつもそう尋ねてくる。

へら、と笑ってみせる。

「自分の不運さに笑えるよね」

ベッドへと戻る。同じ病室の他の人たちはちょうどベッドには居なかった。検査や買い物とか洗濯とか色々だろう。

「ごめんね、花火行かなくって」
「そんなのより」
「さっき不運って言ったけど、よく考えてみれば自業自得か」

< 63 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop