後宮毒見師伝~正妃はお断りします~
危険があると分かっていても
手紙を渡された任深持が深く息を吐く。目の前にあるそれがとても恐ろしいものに思えた。
「なるほど。これで、何故私が襲われたのか分かった」
「ええ。あちらは超国初代皇帝として李友望の言葉が正しく伝えられているのでしょう」
「才国とは違ってな」
自身に不都合な事実が隠されて伝えられたのだろうか。それなら、手紙なんぞさっさと処分しているはずだ。まだ何か、辿り着いていないものがあるのかもしれない。
「馬宰相」
「はい」
「この手紙が超国と関係するものなのは分かった。その超国の場所だが、精霊の護符が破られた位置は特定出来るか?」
「すでに特定しています」
馬宰相が地図を取り出す。才国のみならず、周辺国家全てが描かれた世界地図だ。そこに超国の文字は無いことを全員知っている。
「この辺りですね」
指差した先は、才国から馬で二日程かかる山の中だった。
「東東山か。あの辺は何も無いな」
名前の通り東に位置する山で、獣道が酷く、よほど急ぐ以外にわざわざ通る変わり者はあまりいない。逆に、そこに何かがあっても目立たないとも言える。
「ここに超国があると思うか」
「あくまで私の予想ですが、村程度の規模ならあってもおかしくないですが、国ともなると、さすがに近隣の住人が分かるかと」
「だろうな」
「例えば、ここに私たちを誘い込みたいか、もしくは、本当に超国があって、法術によって隠されていると考えたら無いとは言えません」
任深持が腕を組んで考え込む。地理に詳しくない夏晴亮は付いていくのにやっとだ。王美文は話に飽きたのか、紙に馬宰相の似顔絵を描き始めた。
「ちなみに、超国の場所、正しくは李友望の墓がある場所なら手紙に法術を施せば可能です」
「それを早く言ってくれ」
馬宰相が任深持から視線を外した。
「申し上げれば、貴方様は行くとおっしゃるでしょうから」
「もちろんだ」
精霊の護符が消えた場所と李友望の墓だと危険の度合いが違う。馬宰相が首を振りながら承知した。
「随分嫌そうだ」
「わざわざ危険な場所に我が主をお連れしなければならないですから」
「それが私の役目だ。もちろん、万全を期して臨む。宮廷付きの精鋭を集めて行こう」
夏晴亮が任深持の服をつい、と引っ張った。
「任深持様、私もご一緒して宜しいですか」
「なるほど。これで、何故私が襲われたのか分かった」
「ええ。あちらは超国初代皇帝として李友望の言葉が正しく伝えられているのでしょう」
「才国とは違ってな」
自身に不都合な事実が隠されて伝えられたのだろうか。それなら、手紙なんぞさっさと処分しているはずだ。まだ何か、辿り着いていないものがあるのかもしれない。
「馬宰相」
「はい」
「この手紙が超国と関係するものなのは分かった。その超国の場所だが、精霊の護符が破られた位置は特定出来るか?」
「すでに特定しています」
馬宰相が地図を取り出す。才国のみならず、周辺国家全てが描かれた世界地図だ。そこに超国の文字は無いことを全員知っている。
「この辺りですね」
指差した先は、才国から馬で二日程かかる山の中だった。
「東東山か。あの辺は何も無いな」
名前の通り東に位置する山で、獣道が酷く、よほど急ぐ以外にわざわざ通る変わり者はあまりいない。逆に、そこに何かがあっても目立たないとも言える。
「ここに超国があると思うか」
「あくまで私の予想ですが、村程度の規模ならあってもおかしくないですが、国ともなると、さすがに近隣の住人が分かるかと」
「だろうな」
「例えば、ここに私たちを誘い込みたいか、もしくは、本当に超国があって、法術によって隠されていると考えたら無いとは言えません」
任深持が腕を組んで考え込む。地理に詳しくない夏晴亮は付いていくのにやっとだ。王美文は話に飽きたのか、紙に馬宰相の似顔絵を描き始めた。
「ちなみに、超国の場所、正しくは李友望の墓がある場所なら手紙に法術を施せば可能です」
「それを早く言ってくれ」
馬宰相が任深持から視線を外した。
「申し上げれば、貴方様は行くとおっしゃるでしょうから」
「もちろんだ」
精霊の護符が消えた場所と李友望の墓だと危険の度合いが違う。馬宰相が首を振りながら承知した。
「随分嫌そうだ」
「わざわざ危険な場所に我が主をお連れしなければならないですから」
「それが私の役目だ。もちろん、万全を期して臨む。宮廷付きの精鋭を集めて行こう」
夏晴亮が任深持の服をつい、と引っ張った。
「任深持様、私もご一緒して宜しいですか」