純潔嗜好男子
一時間程買い漁れば、日頃のストレスを発散するかの如く、とりあえず片手が埋まる程購入していた。
化粧品売り場では切れかけていた基礎化粧品を購入し、ルンルン気分の私は、その足でオーダースーツの店に向かう。
そこで何着か手頃なスーツをオーダーし、ここでお腹が減ったのでランチにすることにした。
昼時を外したおかげか、空いてる店ばかり。
適当に選んだお店は、ちょっと奮発してお洒落なカフェダイニング。
ランチプレートと食後のアイスコーヒーを注文し、待ち時間の合間はスマホを確認しながら来週のスケジュールの再確認。
明日も休日だけど、あの子がどこまで引き摺るかは定かではないので、一応は予定を空けてある。
月曜日は朝一から社長と外回り。ランチは社長の奢りでしゃぶしゃぶらしい。これは昨日の御礼と称して事前に約束していた。
午後からは会議、夕方から接待。いったい何時に帰れるのやら…。
そうこうしているうちに、料理が到着し食事を始めた。
あっという間に完食し、アイスコーヒーを飲みながら黄昏る。
おやつの時間に差し掛かると、カップルたちが休憩がてらにぞろぞろと入店してきたので、私はこのタイミングでお暇した。
沢山のショッパー片手に街を散策していると、ジーパンの後ろポケットに入れていたスマホが振動し始め、その場に立ち止まる。
画面には知らない番号が表示されており、仕事関係の電話か?と疑いもせずにその電話に出た。
「もしもし…」
「あ、間宮さんのお電話で間違いないでしょうか…」
「はい。そうですが、すいませんがどなたでしょうか。」
「私…クラブ……の者ですが…」
話を聞いてみれば、どうやら昨日のクラブの従業員からの連絡だった。
昨日私が名刺を置いていったので、支払いの件で連絡してきたらしい。
私は咄嗟に今日払いに行く旨を伝えると、快く承諾してくれて、私は社長に昨日の支払いを立て替えておくと連絡を入れておいた。
勿論金額は不明なのでカード払い。
限度額足りなかったらどうしようか…ま、その時はその時だ。
とりあえず八時過ぎ頃に来てほしいとのことで、まだ時間が余っていたし、一旦家に帰ってから向かう事にした。
午前中に干した洗濯物を取り込み、夕飯を軽く済ませ、せっかくだからと、今日買ったばかりの洋服に着替えて気分転換。
普段は髪を結んでるけど、今日はオフだから降ろした巻き髪姿。
卸したてのヒールは、仕事用だけど普段使いも出来るシンプルだけどカジュアルなもの。
杏奈程の度胸は無いので、その高さは少し背伸びしたぐらい。
時刻は八時少し前。歓楽街の駅に着いた頃には、半頃になっていてちょうど良いかと、昨夜振りの建物に足を踏み込んだ。