白い菫が紫色に染まる時
陽翔はこちらに向かってグーサインをした後、また雪合戦に夢中になっていた。
誰よりも陽翔が一番やる気に溢れているように見えた。
彼なら一人でも小さい三人の相手をできるだろうと思えるほどに。
チーズ工場までの道のりは少し階段を上る程度で、案の定迷いそうな箇所はなかった。
そもそも、目で見えている目的地に向かって真っすぐ歩くだけなので、迷いようがない。
白澄は昔からやたら心配性なのだ。
それはきっと、長男で普段から妹弟たちの世話をしているからだと思う。
工場の中に入ると、一気に暖かい空気が体に染み渡った。
ドアを開けてすぐのロビーのような場所に、その少し奥のスペースに自動販売機と机と椅子が置いてあり、ちょっとした休憩スペースになっていた。
私はそこに腰掛け、巻いていた白いマフラーと手袋を外す。
「それ、いつも使ってくれてるよな」
唐突に言われたので何の話かと思った。彼の視線の先を見て私のマフラーのことを指しているのだと気づいた。
「うん。そりゃあ、嬉しかったし」
このマフラーは去年の私の誕生日に白澄が私にくれたものである。
シンプルなマフラーだが、わざわざ選んで買ってきてくれたことを想像すると、すごく嬉しかった。
「それなら、良かった」
「うん」
彼は嬉しそうに笑っていた。
「ところで何か飲む?奢るよ」
白澄はまだ座ろうとせず、自動販売機の前に立っていた。
「え、いいの?」
「さっき、菫が何か奢れって言ったじゃん」
「あ、あれ?冗談だったのに」
好意に甘えて、お汁粉を頼んだ。白澄は了解と頷き、お汁粉のボタンを押す。二回。
そして、彼は私にお汁粉を手渡して、目の前に座った。
私は、飲む前に温かいお汁粉の缶を両手で持ち、手を暖めてから、缶のタブを開けて一口飲んだ。
「はぁ、生き返る~」
動いた後に飲む甘いものはいつもより美味しく感じる。私はビールを一杯飲んだおじさんのような声を出した。お酒飲んだことないから、あくまで想像上のだけれど。
「俺、久しぶりにお汁粉飲んだわ。うまいな」
一口飲んで、彼は確かめるように言った。
「お汁粉なんて、冬にしか飲まないもんね」
夏に好んでお汁粉を飲むことは滅多にない。お汁粉をほとんど飲み干して、ふと小豆がなかなか出てこないことに気づいた。
「あ、やらかした!」
私は大きく項垂れる。
「どうした?」
誰よりも陽翔が一番やる気に溢れているように見えた。
彼なら一人でも小さい三人の相手をできるだろうと思えるほどに。
チーズ工場までの道のりは少し階段を上る程度で、案の定迷いそうな箇所はなかった。
そもそも、目で見えている目的地に向かって真っすぐ歩くだけなので、迷いようがない。
白澄は昔からやたら心配性なのだ。
それはきっと、長男で普段から妹弟たちの世話をしているからだと思う。
工場の中に入ると、一気に暖かい空気が体に染み渡った。
ドアを開けてすぐのロビーのような場所に、その少し奥のスペースに自動販売機と机と椅子が置いてあり、ちょっとした休憩スペースになっていた。
私はそこに腰掛け、巻いていた白いマフラーと手袋を外す。
「それ、いつも使ってくれてるよな」
唐突に言われたので何の話かと思った。彼の視線の先を見て私のマフラーのことを指しているのだと気づいた。
「うん。そりゃあ、嬉しかったし」
このマフラーは去年の私の誕生日に白澄が私にくれたものである。
シンプルなマフラーだが、わざわざ選んで買ってきてくれたことを想像すると、すごく嬉しかった。
「それなら、良かった」
「うん」
彼は嬉しそうに笑っていた。
「ところで何か飲む?奢るよ」
白澄はまだ座ろうとせず、自動販売機の前に立っていた。
「え、いいの?」
「さっき、菫が何か奢れって言ったじゃん」
「あ、あれ?冗談だったのに」
好意に甘えて、お汁粉を頼んだ。白澄は了解と頷き、お汁粉のボタンを押す。二回。
そして、彼は私にお汁粉を手渡して、目の前に座った。
私は、飲む前に温かいお汁粉の缶を両手で持ち、手を暖めてから、缶のタブを開けて一口飲んだ。
「はぁ、生き返る~」
動いた後に飲む甘いものはいつもより美味しく感じる。私はビールを一杯飲んだおじさんのような声を出した。お酒飲んだことないから、あくまで想像上のだけれど。
「俺、久しぶりにお汁粉飲んだわ。うまいな」
一口飲んで、彼は確かめるように言った。
「お汁粉なんて、冬にしか飲まないもんね」
夏に好んでお汁粉を飲むことは滅多にない。お汁粉をほとんど飲み干して、ふと小豆がなかなか出てこないことに気づいた。
「あ、やらかした!」
私は大きく項垂れる。
「どうした?」