環くんは、フォーク化現象に悩まされている
「お疲れ様~」の陽気な声。
椅子に座ったまま、私は顔の角度を上げる。
カウンターを挟んで立っていたのは、図書委員長の伏見先輩だ。
私より一つ年上の高3で。
怒りの感情が欠如しているような、いつも笑顔のおっとり系男子。
ゆるやかに波打つマロン色の髪が、大人っぽさと優雅な雰囲気にマッチしている。
「千夜湖ちゃん、交代の時間だよ」
「あっ、ほんとですね」
環くんにドキドキさせられっぱなしで、体内時計が狂っていました。
「いつもお昼休みの前半は、千夜湖ちゃんと環くんにカウンターを任せちゃってごめんね」
「いえいえ、そんな」