環くんは、フォーク化現象に悩まされている


言葉をのどに詰まらせている私に、ルンルン跳ねるような陽気声が届いた。


「10分前くらいかな。おススメ本の紹介が終わったから、今は僕以外誰もいないんだ。だからゆっくりしていってね」


「ごめんなさい……間に合わなくて……」


「もしかして図書活動の写真が撮れなかったって、責任感じちゃった? 気にしないでいいからね。忙しいってわかっているのにお願いしたのは、僕なんだから」


優しすぎだよ、委員長。

余計に涙があふれちゃう。


「もうすぐ美男美女コンテストが始まるでしょ? 生徒はみんなそっちに行って、図書室に来る人なんていないと思うし。ちょっと休憩してって。僕も一人は寂しいんだ。千夜湖ちゃんがいてくれるだけで、僕の気分が上がるしね」


泣き虫な妹の心を癒す、お兄さんみたい。


「お茶でも飲む? さっき1年生のクラスで買ったクッキーがあるんだ。1枚食べたけど、チョコチップ入りですっごくおいしいよ」


涙がとめらない私の心が少しでも軽くなるようにと、安心感のある笑顔を絶やさないでいてくれる。

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