婚約者の心の声を知りたいと流れ星に願ったら叶ってしまった
月明かりが照らす庭をエリオルと二人で歩く。公爵令息のパートナーとして夜会で最低限こなさなければならない挨拶は終わった。招待客の大半はまだ舞踏会の会場だろう。
意図せず婚約者の本音を聞いてしまう状況に白旗を揚げ、夜風にあたりに行くと伝えたら、エリオルが同行を申し出た。これでは意味がない。だが断るのも角が立つ。そして現在、仕方なしに貸し切り状態の庭を二人きりで散策している。
喧噪から離れ、外は静かだ。
(ん? 静か……? そういえば、さっきからエリオル様の心の声が聞こえませんね?)
一瞥すると、エリオルは相変わらずの無表情だった。
この状態で婚約者の気持ちを推し量ることは困難を極める。レティシアは早々に諦めた。静かであるなら、こちらは問題ない。
木の葉がそよ風で擦れた音、夜に活動する鳥の羽ばたき、湿気を含んだ風。昼間の庭と景色は変わらないはずなのに、ほとんどの色彩が薄闇に染まっているせいで、まるで別世界にいるような錯覚を覚える。
いつまでも続くかと思われた静寂の時間は、ふと途切れた。
意図せず婚約者の本音を聞いてしまう状況に白旗を揚げ、夜風にあたりに行くと伝えたら、エリオルが同行を申し出た。これでは意味がない。だが断るのも角が立つ。そして現在、仕方なしに貸し切り状態の庭を二人きりで散策している。
喧噪から離れ、外は静かだ。
(ん? 静か……? そういえば、さっきからエリオル様の心の声が聞こえませんね?)
一瞥すると、エリオルは相変わらずの無表情だった。
この状態で婚約者の気持ちを推し量ることは困難を極める。レティシアは早々に諦めた。静かであるなら、こちらは問題ない。
木の葉がそよ風で擦れた音、夜に活動する鳥の羽ばたき、湿気を含んだ風。昼間の庭と景色は変わらないはずなのに、ほとんどの色彩が薄闇に染まっているせいで、まるで別世界にいるような錯覚を覚える。
いつまでも続くかと思われた静寂の時間は、ふと途切れた。