お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 ルークの鳩が傷つくのは、耐えられそうになかった。

「会いたい、わね……」

 誰も聞いていないから、つい漏れる本音。侍女達の前でだって、この本音を口にすることはできなかった。

 彼女達は、オリヴィアの願いをかなえるために、どんな危険な行動でもするだろうからなおさらだ。

「もう来ないで、と――愛している、は許されるかしら?」

 ククッと鳩が悲しそうな目になる。本当に、言っていることがわかっているみたいだとおかしくなってしまった。

(いつか、会いに行くわ――この国を出たなら)

 心の中で決意を新たにする。だから、それまでの間はルークにもこの鳩にも危険は冒さないでほしい。



 * * *

 

 月に一度か二度、使い魔と意識を同調させてオリヴィアの様子を見に行く。それがルークの唯一の楽しみだった。

 ――それなのに。

(鳩をよこすな、だと?)

 会話はできなくとも、オリヴィアは鳩には素直な気持ちを伝えてくれていた。

だから、返事がなくても十分だった。会話ができなくても、ルークはオリヴィアの気持ちを知ることができるし、心は通じ合っていると思っていたから。

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