お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 それでも、家を守るために城壁の上に立つことをいとわなかった。

 細く小さな身体から繰り出される強力な魔術。戦いが終われば、薬や包帯を持って駆け回り、兵士達の手当てを手伝う。

 つたないながらも、回復魔術で軽傷者の手当てをし、重傷の兵がいれば手を握って励まし、臨終の時を迎える兵がいれば、枕元で祈りを捧げてやり。

 その姿が、ルークの目には鮮烈に映ったのだと彼は続ける。辺境伯家の娘が、そこまでする必要もないだろうと。

「本当なら、一度だけのはずだった。一度経験すれば十分だというのが、父上達の総意でもあった」

 本来、そうしょっちゅう皇帝の息子が魔獣討伐に参加できるはずもない。

 だが、ルークは両親を説得し、毎年春から夏の時期にかけては、ブロイラード伯爵領を訪れた。

 ウェーゼルク辺境伯家の子供達と親交を深めている間、いつしかオリヴィアへの感情は明確な恋へと変化していたそうだ。

 彼の気持ちの変化は、オリヴィアにもわかる。オリヴィアの気持ちもそうだったから。

(私も……いつの間にか惹かれていた。目が離せなかった。少しでも、一緒にいる時間を長くしたかった)

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