聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜





 到着した博物館の外観は宮殿のように重厚だった。
「本日はみなさまのために博物館は貸し切りでございます」
 出迎えた学芸員は仰々しくそう言った。

 学芸員が説明についてまわるのかと思ったら違った。代わりのように護衛がぞろぞろついてまわる。
 説明はユレンディールとリグロットが随時(ずいじ)してくれた。

 博物館では、国の歴史、成り立ちを主に見て回った。
 アルスタードの昔の人々の暮らしから現在に至るまでを展示しているようだった。

「現在のこちらの国は、あちらでの一九世紀後半くらいのイメージかしらね。いろいろと違うところもあるけど」
 晴湖が言った。三千花は首をひねる。一九世紀がうまくイメージできない。

「日本だとペリー来航とか明治維新とか、それくらいだったと思うわ」
 晴湖さんは頭がいいなあ、と三千花は感心した。歴史の出来事はある程度覚えていても、年代までは覚えていなかった。

 ある展示を見たとき、三千花は晴湖と顔を見合わせた。

「地球が流刑地扱いされてる……」
 三千花が驚いてつぶやく。

 アルスタードの人たちは魔法が使えるが、かつて大罪を犯した人は、魔法を封印された上で異世界への流刑に処されることがあったのだ。さらに昔は魔法を封印することなく流刑することもあったらしい。

「あ、だから犯罪者の娘……」
「なんか言われたの?」
 晴湖の問に三千花はいつぞや迷子になったときに噂されていた話をした。

「口さがない人達の言葉なんて気にしないで」
 ユレンディールが三千花と晴湖の肩をさりげなく抱いて言う。

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