聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜





 その日の午後、晴湖とシェリナが彼女の部屋を訪れた。
 誰かから三千花の行動を聞いたのだろう。

「三千花ちゃん、無事で良かった!」
 会うなり、晴湖は三千花に抱きついた。目の前で晴湖の茶金の長い髪が揺れる。

「すみません……」
 一人で帰ったことも、心配をかけたことも。
「なんで戻ってきたのよ。せっかく快適になると思ったのに」
 シェリナは憎悪に満ちた目で三千花を睨む。

「ちょっとシェリナちゃん」
 晴湖が(とが)めるが、シェリナはフンと鼻を鳴らしてさらに言う。

「あんたたちばっかり博物館に行って王子に会って。ずるい!」
「博物館はあなたが断ったんじゃない」
「普通は断った人を心配してまた誘うもんでしょ!」
 シェリナの言い分に、晴湖はあっけにとられる。

「イケメン王子もほかの人も、なんであんたばっかり! 私こそが聖母になるのよ。神殿の後押しがあるんだから!」
 言いたいだけ言って、シェリナは部屋を出ていった。
 三千花は怒る気力もなかった。
「何よアレ! 外に散歩に行って気分転換しましょ!」
 晴湖が言う。
「すみません、私、今は……」
「だめよ。あなた、今は独りでいちゃだめだわ」
 晴湖は三千花の顔を見てそう言った。三千花に一緒に散歩に行くことを了承させた。


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