聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
 黒猫は緑がかった瞳をしていた。
 猫がスリスリと体を擦り付ける。

「かわいい」
 愛らしさに負けた。その背を撫で、頭を撫でた。
 こんなに人懐こいなんて! ここで飼われてるのかな。

 猫は一向に出ていく気配がない。
 窓を猫一匹ぶんだけ隙間を残して閉めた。

 彼女がベッドに腰掛けると、猫が乗ってきた。抱きしめても猫は抵抗しない。頬ずりしても、その背で憧れの猫吸いをしても、されるがままだった。

 猫は温かかった。知らない場所で不安な彼女には、心休まる体温だった。

「一緒に寝ちゃう?」
 ニャー、と猫が答える。

「でも私、眠れる気がしないんだよね。ごはん食べそこねておなかすいたし」

 そう言っていた一時間後。
 彼女はぐっすり眠っていた。



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