聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
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通報で駆けつけた警察官は、三人の無惨な死体を見つけた。
首と胴体が離れて、周辺は血の臭いでムッとしていた。
制服警官は慌てて応援を呼び、程なくしてパトカーが何台も到着した。
「こんな凄惨な現場、初めてだ」
警察に長年勤めた鑑識官がつぶやくほどだった。
まだ30手前である若い刑事の氷川蓮月にとっても、同僚である女刑事の雨海優梨にとっても、それは初めてだった。
血の海と化した現場を、赤色灯がさらに赤く染める。
「通報によると、最初に女の悲鳴が聞こえたそうです。中年の男が逃げていくのが見えて、争うような男が四人、不審な男がさらにもう一人、目撃されています。」
「何が起きたんだ、これは」
「それを調べるのが私達の仕事よ」
蓮月のつぶやきに、優梨が答える。
「そうだけどさ」
蓮月の目に、ふと白いものが映った。ぐちゃぐちゃにふみつぶされたテイクアウトの袋だった。血に濡れた道路の上で、それは妙に白く見えた。