聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
 レオルークは三千花の背後に立ち、彼女の手に自らの左手を重ね、体もピッタリと密着させた。

 その右手で彼女を抱き込む。
 三千花の背筋に悪寒が走った。

「コルセットしてないんだね。柔らかいな」
 レオルークの右腕が三千花の胸に触れている。
 三千花は気持ち悪くて仕方がない。

「離れてください」
「こうしないと魔力を注げないからね」
 笑い含みでレオルークが言う。

 嘘だ、と思うものの、その根拠を三千花は持たない。

「魔力をそそぐよ」
 優しく耳元で囁く。吐息がかかる距離で。
 三千花は歯を噛み締めて耐えた。

 離れてほしい。
 だが今は、アルウィードを探すために。

 レオルークの頬が三千花の頬に触れる。
 誰も止めないのか。
 周りを見ると、必死で目をそらしている神官が見えた。
 みんな権力に弱すぎ!

 怒りと嫌悪に耐えながら、三千花は意識を指輪に集中させた。

 うっすらとした光が左手を包む。
 その光は大きく拡散し、広がった。

 しばらくして光は収縮し、一点を指した。

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