聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
リグロットは平服した彼らを立たせ、仕事を再開させた。
「三千花様、不自由はございませんか?」
「不自由だらけよ。暇だし」
「本はお気に召しませんでしたか?」
リグロットが尋ねる。
彼は最初に挨拶にきたあと、使いの者に新聞や本を持たせて彼女に渡していた。が、文字がまったく違っていて読めなかった。翻訳魔法は口頭に限るようだった。
刺繍セットも届いていたが、やったことないので手つかずだ。
「こっちの文字は読めないみたい。刺繍もできないし」
「申し訳ございません。それは予想外でございました。ほかの物を持ってこさせましょう。何かご希望はございますか?」
「帰らせてくれたら一発解決なんだけど」
「できない相談でございます」
丁寧に断られてしまった。
そうこうするうちにも使用人たちは準備を終えた。
彼らが出ていく時、三千花はまた
「ありがとうございます」
と声をかけた。
使用人たちは驚いたように無言で頭を下げて出ていった。
そんなにびびらなくても。
三千花はなんだか残念な気持ちになる。
「なるほどね、そういうこと」
リグロットは面白そうにつぶやいた。
ん? とリグロットを振り返ると、
「普通は使用人にはお礼を言わないのですよ。やって当然の仕事でございますから」
と彼は説明してくれた。
「そういう考え方って良くないと思う」
「聖母様は面白くていらっしゃる」
「何か問題でも?」
ふてくされるとリグロットはにっこり笑った。
「ございません。むしろ聖母様にふさわしい言動でいらっしゃるかと」
意味がわからない、と三千花はうんざりした。
いや言葉の意味はわかる。わかるが……。
エミュリーはそんな彼女を憎々しげに見ていた。
「私は様子伺いに来ただけだからすぐに行きます。失礼のないように」
リグロットはエミュリーに念押しする。
「かしこまりました」
エミュリーはお辞儀して答えた。
彼女の目は怒りに燃えていた。
「三千花様、不自由はございませんか?」
「不自由だらけよ。暇だし」
「本はお気に召しませんでしたか?」
リグロットが尋ねる。
彼は最初に挨拶にきたあと、使いの者に新聞や本を持たせて彼女に渡していた。が、文字がまったく違っていて読めなかった。翻訳魔法は口頭に限るようだった。
刺繍セットも届いていたが、やったことないので手つかずだ。
「こっちの文字は読めないみたい。刺繍もできないし」
「申し訳ございません。それは予想外でございました。ほかの物を持ってこさせましょう。何かご希望はございますか?」
「帰らせてくれたら一発解決なんだけど」
「できない相談でございます」
丁寧に断られてしまった。
そうこうするうちにも使用人たちは準備を終えた。
彼らが出ていく時、三千花はまた
「ありがとうございます」
と声をかけた。
使用人たちは驚いたように無言で頭を下げて出ていった。
そんなにびびらなくても。
三千花はなんだか残念な気持ちになる。
「なるほどね、そういうこと」
リグロットは面白そうにつぶやいた。
ん? とリグロットを振り返ると、
「普通は使用人にはお礼を言わないのですよ。やって当然の仕事でございますから」
と彼は説明してくれた。
「そういう考え方って良くないと思う」
「聖母様は面白くていらっしゃる」
「何か問題でも?」
ふてくされるとリグロットはにっこり笑った。
「ございません。むしろ聖母様にふさわしい言動でいらっしゃるかと」
意味がわからない、と三千花はうんざりした。
いや言葉の意味はわかる。わかるが……。
エミュリーはそんな彼女を憎々しげに見ていた。
「私は様子伺いに来ただけだからすぐに行きます。失礼のないように」
リグロットはエミュリーに念押しする。
「かしこまりました」
エミュリーはお辞儀して答えた。
彼女の目は怒りに燃えていた。