龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?

意外や意外。あのクロップス侯爵がそんなお茶目な面があったなんて。

「そうなんだ…素敵なお父様なんだね」
「ええ、何年経ってもケーキ作りの腕は上がられませんでしたわ」

お父様のことを思い出したのか、リリアナさんはクスクス笑う。ここだ、とあたしは彼女に踏み込んだ。

「クロップス侯爵は、娘のリリアナさんを愛して大切にされてらっしゃるんだね……なら、あなたがケガをしたら悲しむんじゃない?」

あたしがそう指摘すると、リリアナさんはハッとした顔をする。

「親なら、子どもが夢を叶えることより大けがをしたり病気をしない方を望むと思うよ。たぶんそうなったら、自分自身よりつらいんだと思う」

あくまでおばあさまの発言の受け売りだけど、似たようなことは言われたから自分なりにアレンジして、リリアナさんに伝えてみた。

「健康で幸せに……親って、子どもに望むのはそれだけなんだって。だからさ、リリアナさんも気負わなくていいんじゃない?ぶっちゃけ、あたしたち女の子は女の子に生まれただけでラッキーなんだよ。騎竜にとって負担が減るからね」
「負担が減る…?」
「上位のドラゴンはともかく、大抵の飛竜は物理的に飛翔するよね。その時に乗る人間の体重が軽いほど負担が少なくなる。女性は筋肉量が少ないから、重くない。むしろ竜騎士に合ってるんだ」

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