龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?

帰還したシルヴィアの背の上に、ヴァイスさんがいる。長時間の戦いの痕跡がすごく残り、ボロボロの制服だったけど。あたしはヴァイスさんとシルヴィアが無事で嬉しくて仕方ない。

無事と信じていた…でも、もしかしたら、逢えなかったかもしれないんだ。

感極まったあたしから、本音が漏れ出す。

「よかった…ヴァイスさんとシルヴィアが無事で…本当に…よかった」
「約束しましたからね、あなたのもとに帰ってくることを」
「それだけでいいんです…あたしは……でも……」

もしかしたら、ヴァイスさんにはハワードとの会話を聴かれていたのかもしれない。

ドキン、ドキンと鼓動が早くなる。
優しい彼は聴かなかったふりをしてくれるだろう。
でも、あたしは…。

ずっと宙ぶらりんなままは、もう嫌だった。
フラれるならきっぱりと、早めにフラレよう。

「あたしはもっと、欲張りになってしまいました」

そう言ってあたしを片手で抱きしめるヴァイスさんの顔を見上げた。彼は微笑んで「なんでしょうか?」と穏やかな声。

悔しい。
これだけ身体が密着しても、意識するのはいつもあたしだけ。ヴァイスさんは涼しい顔だ。

だから、少しでも驚かせたかったのかもしれない。

「ヴァイスさん」
「はい」

数度、深呼吸してから告げた。

「あたしは、ヴァイスさんが好きです」

ーーとうとう、言った。


< 216 / 267 >

この作品をシェア

pagetop