龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?
「ふ、フルならきっぱりフッてください!なんの未練もなくバッサリと……ぶっ!?」
いきなり、ヴァイスさんに息苦しくなるほど抱きしめられた。
「ちょ、ヴァイスさん……苦しい!」
「すみません…」
謝ったヴァイスさんはようやく力を緩めてくれたけど、まだギュッと抱きしめられていることに変わりない。
「アリシア」
「はい」
「……すみません」
(とうとうきた…フラれる瞬間が)
その後は、好きになってくれてありがとう、ごめんなさい…で決まりだ。
(あーあ、やっぱりフラレた。でも、いいや。あたし、頑張ったよね……)
滲む涙を見られないように、そっと指でぬぐう。でも、ヴァイスさんの次の言葉は予想外だった。
「すみません、アリシア。本当は男の私から言うべきでしたのに……あなたから言わせてしまいました。なんと不甲斐ない…」
「え?」
ヴァイスさんが言っている意味がわからない。
彼は熱が籠もる真剣な眼差しで、あたしをまっすぐに見つめる。ドキン、と心臓が暴れだした。
「アリシア」
「はい」
「私も、あなたが好きです」
「えっ」
告げられた言葉が信じられなくて目を何度も瞬いていると、ヴァイスさんはふっと優しい眼差しになる。
包みこまれるような暖かな目に、落ち着かない気分になった。
「私は、最初からあなたに惹かれていました。でも、メローネの裏切りのこともあり、自分自身が信じられず、それでもあなたを手放したくなくて…偽の恋人、という都合がいい卑怯な方法でしばりつけてしまいました…あなたにどんどん惹かれてしまい…すぐに後悔することになりましたが…」