龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?

(なかなか熱が下がらない……)

竜騎士さんを看護して5日。
2日目から発熱がひどくて、空いた時間を見つけては水で冷やしてるけれどもなかなか解熱しない。
解熱作用のある薬も調合しているのだけど…。

白銀色のドラゴンは時折目を覚まして、心配そうに主人を見ている。今もそうだ。

「鱗の艶が鈍い…まだ毒が抜けたばかりでダメージが残っているでしょう?彼はあたしが絶対助けるから、安心して眠ってて」
「クゥ」

ドラゴンの首筋を撫でながら微笑んで見せる。まだ心話ができるほど信頼されてないから彼女の心は詳しくはわからないけれど、知能が高いドラゴンは人間並みに細やかな意思や感情がある。 だから、から元気だろうがなんだろうが、彼女を安心させるために明るく笑った。

「自慢の相棒であるあなたを残して逝くはずがないよ。大丈夫!信じてあげなよ、ご主人様を。今は生きるために休んでるだけだから」
「ギュウ」

この鳴き声はわかる。“うん”と肯定の意味だ。

「ありがとう。あたしも頑張るから!さ、この果物のすりおろしなら食べられるよね?薬も入ってるからちょっと苦いけれど頑張って食べてね。後で鱗のお手入れもするから」
「キュッ」
「あはは、あなたって本当に綺麗好きだよね。いつも体の手入れが嬉しいみたいだもの。でも、それはそっか。すごい美人だし、綺麗な鱗と体してるものね。よし、今日はぴかぴかに磨いちゃおう!」
「キュキュッ」

白銀色のドラゴンは、より一層嬉しそうに鳴き声を上げた。
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