カマイユ~再会で彩る、初恋
ポンポンと優しく頭が撫でられる。
絶対、私の話を聞いてないよ。
話を聞くと、十か国くらい廻ったらしく、その全ての国でのお土産を買ったらしい。
荷物になるからと、ラスト二日分のお土産以外は会社の空輸便の方に入れたと言う。
セレブの考えることは、庶民には分からない……。
「茜、ちょっと目を瞑ってて?」
「……目を瞑ればいいんですか?」
「ん」
何だろう?と思いながら、目を閉じて待っていると。
パタパタと足音が遠のき、再び近づいて来た。
「もういいですか?」
「いや、待って」
「……ん?」
不思議に思いながら彼からの合図を待っていると、足首に先生の手のぬくもりを感じた。
そして、その後すぐにひんやりとした感触が……。
「えっ……何ですか、これ…」
左足には童話『シンデレラ』に出てくるような『ガラスの靴』が履かされている。
「見つけた、俺のシンデレラ」
片膝をつき、真っすぐ私を見つめている。
「だいぶ待たせたな」
「っっ……」
去年の十月。
突然の退職宣言。
元々教師をしたかったわけじゃないのは聞いていたから、何か他にしたいことができたのかと思いきや。
お爺様の会社と財団の跡を継ぐ決心をしたと打ち明けられ、その延長線上に私達の未来があると言われたけれど。
駄々を捏ねれるような歳でもないし、具体的な話などそれまで一度も出なかったから。
『待ってて』と言われ、微かな希望を胸に今日までずっと耐えて来た。
薄っすらと滲む視界。
嬉しすぎて、夢なんじゃないかと思えてくる。
「茜、俺と結婚してくれないか?」
「っっっ~~~っ」
跪いたまま足首を手で支え、優しく見つめて来る。
「返事は?」
「………はい」
私の返事に応えるように、彼はフッと微笑んで足の甲にキスを落とした。