利瀬くんの甘さに溺れたら
……けど、利瀬くんは何も言ってこない。
「……利瀬、くん…?」
恐る恐る目を開き、利瀬くんの名前を呼んだ。
何も聞きたくないと思っていたのに、いざ黙られると途端に不安になって。
そしたら利瀬くんは、ゆっくりと口を開いて…優しい微笑みを私に向けた後、零した。
「瑠々が好きだよ。俺の頭には…心の中には、瑠々しかいない」
時が、止まったような気がした。
「っ…え、?」
う、そ……。
今、利瀬くん…私を好きって言ったの…?
言われたことが信じられなくて、自分の耳を疑ってしまう。
「…正直に話せなかったのは、瑠々に変な誤解されそうで怖かったから。だから、言えなかった。それ以上に、桜井さんを傷つけた俺のことを嫌いになるかもしれないって思ったら…言えなかったんだ」
でも、利瀬くんは気にせず続けて話す。
動揺しているのは私だけ。
「…っほ、ほんと…?ほんとに、私のこと…」
「信じられない?…なら、何度だって伝えてあげる」
「っ…!?」
利瀬くんはそう言ってから、私の腕を引っ張った。
そのまま利瀬くんの腕の中に収まって、優しく包まれる。