光が消えていってしまう君へ

不思議

十分後に紫都が起きた。

まだしんどそうだけどマシにはなったみたい。


「紫都。」


私がそう呼ぶと、紫都は、一瞬驚いた顔をした。

けれど、すぐに嫌そうな顔になった。

失礼だな~


「紗和。もう関わるなって言っただろ。」

「言われたよ。でも、そこにいる藍斗さんについて来てって言われたんだから仕方ないじゃん。」

「そうか...」


無言になった私たち。


「ねぇ、紫都。私に何を隠してるの?」

「は?何言って...」

「藍斗さんが言ってたよ『詳しくは本人に聞いてください』って。」

「なっ、藍斗⁉」


紫都は藍斗さんが言ったと聞いてびっくりした表情になった。

ちゃんと相談して私に言ったわけじゃなさそう。

てことは、藍斗さんの独断かな。


「それで、何を隠してるの?」

「関係ないだろ。」


は?本気でそう思ってるわけないよね(黒笑)


「それが原因で私にあんなことを言ったんだったら、私にも関係はある。」

「でも、」

「ショックだったんだよ。」


これは本音だ。

すごくショックだった。

だからこそ、解決できるならしたいし、このままにしたくない。


「何があっても私は紫都を嫌ったりしない。」

「...」


私の言葉になぜか一瞬悲しそうに紫都の顔が歪んだ気がした。




「嫌ってくれよ。俺なんか忘れてくれ。」


そう言って保健室から紫都は出ていってしまった。

紫都。

私は今の紫都が何考えてるのか分からないよ。

なんで、嫌ってくれなんか言うの。

絶対に嫌うわけがないのに。

紫都の本心が分からない。

どう聞いてても不思議にしか思えないし、私には理解不能だ。
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