光が消えていってしまう君へ

タスケテ

「はぁ、はぁ、はぁ」


頭痛がしてるのに無理やり起きて、歩いてきたから、すごくしんどい。

薬も鞄に入ってるし、何も持っていない。

紗和があんなことを言われたくらいで諦めるとは思っていない。

むしろ、闘志を燃やしているだろう。

ただ、あそこで問い詰められたら喋ってしまいそうだった。



だから逃げた。



「本当に忘れてしまえるなら、楽だったのにな。」


俺は自嘲気味につぶやく。

紗和に言った言葉だが、ほんとは俺自身に言っているようなものだった。

そんなことを思いながら歩いていると、頭痛がひどくなってきた。

頭痛がしてる時は、思考がネガティブになる。

助けてほしい。

こんな病気から、

頭痛から、

気持ちを閉じ込めなくちゃっていう枷から、

紗和にあんなことを言わなくちゃいけない俺を。


助けてほしい。


助けてくれ。


助けて。


タスケテ...



こんなことを思っても助かりはしないのに。

紗和も、藍斗も、主治医も、治せない。

医者が治せないのに、紗和や藍斗が治せるわけない。

ただ、

治してくれるなら、紗和に治してもらって、俺が言ったことを謝りたい。

ごめんって。

死ぬときは、紗和、お前は俺を看取ってくれるだろうか。
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