内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
そういえば、上層部なら開発者の名前を知っているという話だったっけ。ずっと伝えたかったお礼をようやく口にできる、このチャンスを逃す手はない。
その時、車がちょうど街中のパーキングに到着する。
龍一さんが慣れた様子でバック駐車を終えこちらを向いたタイミングで、私は口を開いた。
「じゃあ、その方に伝えていただけますか? 母が亡くなった悲しみの中でも、夢望に込められたメッセージに励まされて大学受験を頑張ることができた。そして、Sparcilへ就職しようと決めた、ひとりの社員がいるって」
私を見つめる切れ長の瞳が、眩しいものを見るように細められた。それからゆっくりと瞬きをした彼は、深く頷く。
「わかった。必ず伝えよう」
「ありがとうございます……!」
目的地に着いたのでそこで話が途切れ、龍一さんがなぜ夢望に思い入れがあるのか、その理由までは聞きそびれてしまった。
その上、歩きだすと同時に彼に手を握られてドキドキしてしまったので、正直夢望どころではなかった。
昨日の会社帰りにも繋いだけれど、全然慣れない……。