内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「余計なお世話です。というか、そんな質問が出てくると言うことは、俺たちの一夜をほんの少しでも想像しましたよね? 即刻やめてください」
「そ、そんなに怒ることないだろ」
「怒るに決まってますよ。まったく……」
真智の裸を想像されたかもしれないと思うと、たとえ石狩さんでも許せない。
俺は飲み干したグラスをガツッとカウンターに置くと、唐突に席を立った。
「おい、悪かったって。どこ行くんだ」
「トイレですよ」
質問に答えるのすら煩わしいと言うように吐き捨てる。会社内では俺の方が立場は上とはいえ、学生時代の先輩である石狩さんに取る態度ではない。
少し頭を冷やさなくては……。
フロアの喧騒から離れ、トイレの案内表示を頼りに奥まった通路を進んでいたその時だった。
「なぁ、羽澄、一個だけ教えてくれ」
トイレへ続く角の向こうから男の声が聞こえてきて、ぴたりと足を止めた。
羽澄って……偶然か? それにこの声、聞き覚えがあるような……。
記憶を辿っている間に、男がさらに言葉を重ねた。
「このまま専務と結婚して、後悔しないのか?」