内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「ああ。とはいえ、最初の企画書出してきたらぶった切ってやる気満々だけどな」
「真智は、それでも食らいついてくるでしょう?」
「ああ。自分のやりたい企画は噛み付いて離そうとしない、スッポンみたいなやつだ」
石狩さんの言葉でスッポンのコスプレをした真智が頭の中に浮かんで、思わずクスクスと笑った。
俺はどうやら酔っているらしい。自分の妄想が生み出した彼女の姿まで、可愛いと思ってしまうのだから。
「……お前がそんな顔をして笑うとはな」
石狩さんが、興味深そうに俺の顔を覗く。俺が女性に対してドライな姿勢を貫いてきたのを知っているから、物珍しいのだろう。
気恥ずかしくて笑ってごまかしていたら、カウンターの向こうから肉料理やパスタなどの料理が届く。ふたり分のウィスキーを追加注文し、皿に料理を取り分けた。
「酔ってるついでに野暮なこと聞いてもいいか?」
「野暮? なんですか?」
「お前らわりと体格差あるけど、夜の生活に不都合ねぇの?」
咀嚼していたパスタが気管に入り、ごふっと噎せた。
……本当に野暮なことを聞く人だ。俺たちはまだ、そこまでの関係に至っていないというのに。
いがいがとする喉をウィスキーで潤し、石狩さんを睨みつける。