内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「世間的にはどうか知らないけど、俺だって、未練たらしく人の婚約者を思い続けてた身だから人のことは言えない。……ま、いいんじゃねぇの? 自分に嘘つくよりは」
顔を上げると、霜村くんらしい人の好さそうな笑みが降り注いだ。
〝ま、いいんじゃねぇの?〟とあえて軽い言葉を使ってくれたことにも不思議と救われる思いがした。
「霜村くん……」
「専務だって気が変わらないとも限らないし、とりあえず、一緒にいられる時間を大事にして、偽装夫婦脱却に向けて頑張ってみろよ。それでもダメなら、同期として慰めてやるから」
「ありがとう……。やってみるね」
龍一さんの気が変わるなんて奇跡、たぶん確率的にはかなり少ない。
だけど、恋愛初心者の私にできそうなことなんて、彼の言ったように一緒に過ごす時間を可能な限り大事にする、それくらいしかないのも事実だ。
彼がシンガポールへ発つまでの四カ月間、とりあえず頑張ってみよう。
二次会の誘いを断ってこれから帰る旨を龍一さんにメッセージで送ったら、店の前まで彼が迎えに来てくれることになった。
これからカラオケに向かうらしい同期たちに手を振っていると、突然集団を離れたひとりが私のもとへ近づいてくる。