内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
常務にとっての小峰も、そんな存在に違いない。もちろん、ダメなことはダメと教えるのが親であるのは、当たり前だが。
「彼女を、信じる……それしかないと思います」
俺にはまだ、親としての自覚がしっかりあるとは言えない。それでもあえて理想を語るならば、子どものことを信じられる、そんな父親でありたい。
「そう、ですよね……。すみません、社長にこんなお話」
「いや、私の方こそ。まだ独身の身で、出過ぎたことを言いました」
子育ての上では小峰さんの方が何倍も先輩であると言うのに、偉そうに語ってしまった。
なんとなく気まずい雰囲気が流れ、俺たちは重役フロアの廊下でやけにペコペコし合った後、それぞれ自分の執務室へと向かった。
それからのおよそ一カ月。俺はシンガポール出張で発掘したバイヤーや現地商社との繋がりをもとに、Sparcilのブランド価値を世界でも確固たるものにするための戦略を練っていた。
手足となって動いてくれるのは、経営戦略室の社員たちだ。
本当ならそのメンバーには真智も加わる予定だったが、石狩さんの話によると、三つ子を身籠っているとわかった頃に彼女から辞退の申し出があったらしい。