内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
俺にはまだ、三つ子育児の苦労がどれほどのものなのか想像でしかわからない。
しかし、真智のような有能な社員が、子を持ったからといってキャリアを諦めるのは非常に勿体ないと感じる。
Sparcilの社内規定ではフレックス制度やリモートワークを利用できるが、利用者はごく少数。形骸化しているのは否めない。
会社全体で、誰もが働きやすい環境づくりに取り組むことが必要だろう。
当り前のことなのに、こうして自分が子を持つまで気づけなかったことが不甲斐ない。
俺も率先して真智のサポートをしなければ……いや、自らが主導して子育てするくらいにならないと、働く親たちの苦労や葛藤を本当の意味で理解はできない。
Sparcilが目指す、企業としての理想の姿。それを改めて見直しつつ、真智との話し合いの日を待っていた四月の下旬。
仕事が終わり帰宅しようと会社エントランスを歩いていた俺のもとへ、石狩さんが駆け寄ってきた。
「お疲れ。なぁ、今日って羽澄と連絡とったか?」
「いえ、取っていませんが……今日、彼女は出社していないんですか?」