内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「ねえ羽澄さん、倉敷川を背景に、私の全身が映るように撮ってくれる?」
彼女は所属する広報部で会社のSNS担当を任されており、投稿をバズらせるのもお手の物。
とにかく欠点がまるでないすごい女性なので、同期とはいえ差し出されたスマホを受け取るだけでも挙動不審になった。
「い、いいの? 私、写真下手だけど……」
「平気。どうせ加工するし」
さっぱりとした物言いも感じがよく、さすがだなぁと思う。他部署で接点のない私の名前を覚えている記憶力のよさにも感心する。
せっかく頼んでくれたのだから、ぶれたり指が映り込んだりという失敗だけはしないよう、細心の注意を払って美しい小峰さんの姿を写真に収めた。
彼女はあえてカメラ目線ではなく川の方へ視線を向けていて、プライベートで散歩をしているかのごとく気楽そうな表情をしている。それが逆に洗練されて見えるから不思議だ。
「ありがと~羽澄さん。助かった」
「どういたしまして。SNS用だよね? お疲れさま」
「そうそう。あ、せっかくだから羽澄さんも一緒に写る?」