内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】

 姉はすっかり他人事だが、基本的には私たちの偽装結婚に賛成なようだ。すでに結論は出たかのように気楽な調子で言うと、ふたつ目のきび団子の包みを開けて頬張っている。

 結局決断しなきゃいけないのは自分だもんね……。

 ぬるくなった緑茶をずずっと啜り、冷静に考えてみる。

 専務のご両親への挨拶や同僚たちの反応など不安な部分も多いが、結婚生活自体は同居人程度の感覚で気楽にしていいと専務は言っていた。そして彼も私も、仕事が第一優先。

 経済的な格差はともかく、その辺りの価値観に大きなズレはなさそうだ。

 彼がシンガポールへ渡り、私が経営戦略部へと異動するのは同じ半年後。それまで次期社長となる彼のそばで色々学ばせてもらい、未来の自分への糧とする。それはそれで充実した日々かもしれない。

 自分を成長させるための選択なら、天国の母もきっと反対しない。

 容姿のことは……専務本人の意見を聞いてみてから考えよう。

「……受けようかな、偽装結婚の話」

 両手で緑茶の湯飲みを包み込み、ぽつりと呟いた。正面の姉は笑みを深めて頷く。

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