内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「いいと思う。私もそうだけど、仕事優先の毎日を送っていると、真剣に恋愛して結婚してっていう、一見誰にでもできそうなことがいかに難しいかわかるじゃない? そんな中で専務さんのような相手が好条件で結婚を申し込んでくれたんだもの、偽装とはいえ、こんなチャンス逃したら勿体ないよ」
私と同じく仕事ひと筋で男性経験のない姉の言葉には実感がこもっている。
背中を押してもらえた気分だ。
「そうだよね。……さっそく連絡してみようかな。あまり待たせるのも悪いし」
決心が鈍らないうちにと、テーブルに置いていたスマホを手に取る。電話の内容を姉に聞かれるのも気まずいので、自分の部屋へ行こうと立ち上がった。
「あ、ちょっと待って」
「なに?」
姉に呼び止められ、首を傾げる。今まで呑気な調子だった姉が、神妙な顔で口を開いた。
「真智なら大丈夫だと思うけど、くれぐれも専務さんにのめり込みすぎないようにね。もしも本気になっちゃったら、お母さんとはまた別の苦労をしちゃいそうだもの。適度に距離を保った関係がいいよ」
母の苦労をそばで見てきた私たち姉妹は、特定の男性に激しい恋愛感情を抱くことに漠然とした恐れを抱いている。
理性的かつ正常な判断がくだせなくなり、人生を間違った方向へと進んでしまいそうな気がするからだ。