内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
石狩課長の運転する社用車で、日本橋の本社まで戻る。
「午後のミーティングでクリップの厚みについて要報告ですね。それと、インク補充タイプのラインナップ拡大についても時間が許す限り詰められたら――」
「そんなにストイックに仕事のことばかり考えていていいのか? 週末、降矢のところに引っ越しなんだろう?」
「えっ? なぜそれを……!?」
まさか課長の口から龍一さんの名が飛び出すとは思わず、ハンドルを握る石狩課長を凝視する。
課長は前を見据えたまま、ふっと苦笑する。
「そんなに驚かなくてもいいだろう。降矢とは大学の先輩後輩だから、本人から直接聞いたんだ。アイツと結婚するんだって?」
「大学、同じだったんですね。結婚というか、その……まだ準備段階ではあるんですけど」
しどろもどろになりながらも、なんとか答える。
こうして身近な人から結婚について聞かれたのは初めてだったので、シミュレーション不足を痛感する。
とにかく、口が裂けても偽装結婚だと言うわけにはいかない。