内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「学生時代から女に対して淡白な奴だったから、いったいどんな相手と結婚するかと思いきや。まさか俺の部下だとはな」
課長の言う学生時代の龍一さん像は、本人の自己申告と一致している。
嘘をつかれているわけではないとわかって、なんとなくホッとする。
「お、驚きましたよね」
「ああ。しかし、悪い意味じゃない。降矢にも『なかなか見る目があるな』と言っておいた」
「恐縮です……私自身がまだ、夢見心地ですが」
自分のキャラクターではどんなセリフを返すのが適当か、脳の今までに使ったことのない部分をフル回転させた結果、そんな言葉が口から出た。
堂々と龍一さんの婚約者を演じるよりは、身に余る幸福に受け止め切れていないといった雰囲気を装うのがベターだろう。
「大げさだな。今までもさんざん恋人として大切にされてきたんだろう? 二年も極秘で付き合っていたと聞いたぞ」
なんですって……? 初めて聞く情報に、内心冷や汗をかく。
そういうストーリーがあるなら事前に共有してくださいと、ここにはいない龍一さんに心の中で激しく訴えた。