内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「そ、その秘密のお付き合いに慣れていたので、彼との関係を公にできることが夢みたいと言いますか」
「ああ、なるほどな。芸能人のようにコソコソ付き合うのは苦労も多かっただろう。せいぜい幸せになれよ」
「ありがとうございます」
よかった、うまく切り抜けた……。課長からわずかに顔を背け、安堵の息をつく。
それにしても、後で龍一さんに電話をして、彼が勝手に創作している私たちの歴史について、詳しく聞かなくては。
『交際歴は二年。次期社長という自分の立場に加えて真智が奥ゆかしい性格のため、周囲には公言してこなかったと、石狩さんには伝えた』
その夜、眠る前に龍一さんへ連絡した。
悪びれもせず答える彼に思わず脱力し、自室のベッドにどすんと腰かける。
「できれば事前に知っておきたかったです……」
『悪かったよ。しかし、俺も慌てて考えたんだ。この先同じようなことで焦らないためにも、色々決めておくか? 付き合い始めた記念日やプロポーズをした場所について』
「そうですね……でも、まったく思い浮かびません。付き合うきっかけもなにも、今まで龍一さんとは接点がひとつもなかったんですから」