内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】

 実際に新年度を迎えてみると、日々は相変わらず忙しく三つ子の父親が帰国したという感傷に浸る暇もなかった。

 彼が社長就任の挨拶をする動画を同僚たちと視聴した時だけほんの少し心が騒いだけれど、三年も離れていたせいか、今の彼はとても遠い存在に思えた。

「ママ、わすれものない?」
「たぶん……」

 四月も二週目に入った、月曜日の朝。手を繋いで歩く楓人の問いかけに、自信なく頷いた。

 毎週のことだが、三人分の荷物を持っての登園は凄まじく大変だ。

 とくに月曜日は、姉の手が借りられない場合、お昼寝用布団三人分、着替えや連絡帳の入ったリュック三人分を両脇に抱えた状態で、三人を園に送り届けなければならない。

 双子用の縦型ベビーカーに秋人と麦人を乗せ、楓人は手を繋いで園まで歩くのがいつものスタイル。

 ベビーカーは園で預かってくれるので、帰り方も同じだ。

 横型ベビーカーや、大きなキャリーカートに荷物も三つ子も乗せてしまうなど色々試してみたが、今の形が一番コンパクトで安全に歩けるので、このやり方が定着した。

 といっても、決して平和な登園ができる日ばかりじゃないのだけれど……。

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