内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】

「……きみとのドライブは悪くないな」
「えっ?」

 考え事をしていたので、よく聞こえなかった。

 聞き返すように見つめた運転席の彼は、静かに首を左右に振った。

「なんでもない。冷血人間の独り言だ」

 自虐的にそう言った彼だけれど、冷血人間という割に機嫌がよさそうな横顔だ。

 彼を見ていたら私もなんとなく嬉しくなって、車窓の景色を見ながら新居のマンションへの期待を膨らませた。


「ここだ。とりあえず地下駐車場に車を停める」

 到着したのは、大きな交差点に面したタワーマンションだった。高さがありすぎて、車の窓からでは最上階が見えない。

 圧倒されているうちに、車は地下へ続くスロープを滑らかに下っていく。

「何階建てなんですか?」
「地上五十五階、地下三階だったかな。下の方は商業施設が入っていて便利だし、地下通路は駅に繋がってるから、雨でも濡れることく駅にたどり着ける」
「……プラス、家事や買い物の代行サービスもあると」
「ああ、便利だろう?」

 確かに便利だけれど、あまりに何でもそろいすぎていて気後れする。

 けれど龍一さんの妻になるなら〝それが当然〟みたいな顔でオホホと笑っているくらいの方がいいのかな……。

< 81 / 247 >

この作品をシェア

pagetop