旦那様は仏様 ~もっとイチャイチャしたいんです~
 そして、翌日の日曜日にも、それは終わりを迎えることはなかった。目が覚めてすぐに額へ口づけられて、もうその行為が夢なんかではなくなったのだと美咲は理解した。

「聡一さん、これも毎日してくれるんですか?」
「はい、美咲さんが望むなら」
「……じゃあ、私も聡一さんが望んでくれるなら」

 美咲は聡一の頬へ口づけた。たくさん与えられて身体中に満ちた気持ちを聡一へ返したくて、自然とそうしていたのだ。

「美咲さん!」

 聡一は珍しく興奮した様子でとても強く美咲を抱きしめてきた。

「聡一さん?」
「あなたは本当にかわいい。際限がなくて困ります」
「聡一さん、嬉しかった?」
「はい。とても。ものすごく。これ以上なく嬉しかったです」

 聡一は余程嬉しかったらしい。ここまで感情をあらわにする聡一は初めてだ。喜んでくれる聡一に美咲の中にも喜びが広がっていく。

「そんなふうに喜んでくれたら、私も嬉しい」
「美咲さん。もう一度してくれますか?」

 聡一がねだってくれるのが嬉しくて、美咲はすぐさま聡一の頬へもう一度口づけを落とした。

「ありがとうございます。とても嬉しいです。私からもお返しさせてください」

 聡一はまた美咲の顔へたくさんのキスの雨を降らせてきた。美咲も合間を縫っては聡一へ口づける。その愛し、愛されての行為に美咲はめまいがしそうだった。まだ唇同士を触れ合わせてはいないものの、互いに求めていることがわかる。美咲は千佳が言う通り、本当は聡一もこの先を望んでくれているのかもしれないと初めて感じられた。だから、次の大きな一歩を自分から踏みだしてみようかと、美咲は少しずつ決意を固めていくのだった。
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