旦那様は仏様 ～もっとイチャイチャしたいんです～

　それから、二人は四度食事を共にした。夕食を一緒に食べて、美咲の自宅まで送ってもらう。たったそれだけのことだったが、それでも美咲は会うたびに聡一に惹かれていった。


　そして、五度目の食事で、美咲は聡一からプロポーズされた。

「美咲さん。私と結婚してください」

　目の前には婚約指輪を差し出し、あの優しい微笑みを浮かべた聡一がいる。

　一般的な見合いの流れなどわからないが、こんなに早くにプロポーズされるとは思わなくて、美咲はとても驚いた。これからもっとデートを重ねて、恋人らしくなってからそれが訪れるものだと思っていたのだ。だから、まったく戸惑わなかったかといえば、それは嘘になるが、それでも美咲にその申し出を断る選択肢はなかった。「よろしくお願いします」とその場でプロポーズを受けた。



　それから約半年。バタバタと式の準備や引っ越しの手続きなどを進め、聡一とはほとんど事務的なやり取りだけをして過ごし、二人はとうとう結婚した。きっと結婚したらめくるめく愛の日々が始まるんだろうとワクワクしていた美咲だが、その妄想は早々に打ち砕かれてしまった。

　結婚してから半年。何の進展もないまま現在に至り、美咲は目の前にいる親友・堀越千佳(ほりこしちか)にその愚痴をこぼしていた。