旦那様は仏様 ~もっとイチャイチャしたいんです~
第九章 愛し合いたい
 美咲は腹に力を込めるようにしてふっと息を吐きだし、密かに気合を入れた。結婚記念日には話そうと思っていたとはいえ、そんなに簡単に話せるものではなかったからだ。

「聡一さん。じゃあ、その話をしてもいいですか?」
「はい。ですが、もし差し支えなければ私から話しても構いませんか? 本当は結婚記念日に話そうと思っていましたが、きっと想いを伝えあった今がいいでしょうから」

 聡一から先に話したいらしい。気合を入れたのに肩透かしを食らった気分だが、きっと美咲の話があとのほうがいいだろうから、美咲はその提案を素直に受け入れることにした。

「わかりました。聡一さんからで大丈夫です」
「ありがとうございます。恥ずかしいかもしれませんが、ちゃんと聞いていてください」

 その言葉で話の方向性が同じなのだとわかる。

「大丈夫です。ちゃんと聞いています」
「うん。では、まず本題に入る前にこれまで私が思っていたことをお話ししたいと思います」

 聡一はそう前置きしてから語りはじめた。
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