旦那様は仏様 ~もっとイチャイチャしたいんです~
「待っていてくださったんですね」
「独り善がりな行為をしても何の意味もありませんから。ですが、ゆっくり進めるというのもまた難しいものでした。待つことはできても、進めるのはとても怖かった。あなたを失うのが怖くて必要以上に慎重になっていました。最初の一年間はすべて待とうと決めていたんです。ただ私との生活に慣れてくだされば、それでいいと思っていたので」
「え、一年……」

 さすがに一年は驚きだ。美咲が何もしなかったら一年もお預けを食らう羽目になっていたらしい。

「はい。結婚式のときも、初めて一緒に眠った日もかなり緊張されていましたし、絶対に無理には進めないと決めていました。美咲さんが望んでいるようであれば少しずつ進めて、そうでないなら一年は何もしないと。もし一年経っても進んでいないなら、そのときには自分の気持ちを正直に伝えて、あなたが許せる範囲で関係を深めようと考えていたんです。ですが、あなたがかわいらしくアピールしてくださったから、一年を待たずにここまで進めました」
「そんなふうに思ってたんですね。最初から全部言ってくれればよかったのに」

 そんなふうに一人で抱え込まないでほしかった。確かに美咲は慣れていないから、簡単には進まなかったかもしれないが、言ってくれればきっと頑張れたはずだ。
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