旦那様は仏様 ~もっとイチャイチャしたいんです~
「私たちは二人とも仕事をしていますから、やはり子供を持つとなるときちんと時期を考えておかなければならないと思います。特に女性に強いる負担は大きいですから、あなたが悔いの残る人生を歩むようなことにならないためにも、最初にきちんと話し合っておきましょう」
「あ……はい」

 愛の囁きではなく、とても真面目な話だった。誠実な聡一らしいといえばらしいが、なんだか拍子抜けしてしまう。

「美咲さんは子供がほしいですか?」

 まだ少しの接触もしていない相手と子供の話をするのはどうにも恥ずかしい。恥ずかしくてもじもじとしてしまう。

「……そうですね、いずれは」
「いずれはということは今ではないということですね? いつごろを理想とされていますか?」

 美咲の様子には構わず、聡一はさらに攻めてくる。

(え、待って、何これ、恥ずかしいんだけど……)

 きっと美咲の顔は赤くなっていたことだろう。友人とですらこういう手の話題は苦手なのに、彼は美咲の夫になったとはいえ、男性とその話をするのが恥ずかしくてたまらない。

「……聡一さん、あの……恥ずかしいです……」
「うん?」
「その……聡一さんもご存じの通り、私は恋愛経験がないもので……そういう話題にも不慣れなんです……」

 聡一は一瞬何を言っているのかわからないという表情をしたが、すぐに理解して申し訳なさそうな表情に変化させた。
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