旦那様は仏様　～もっとイチャイチャしたいんです～
「……すみません……恥ずかしい思いをさせて申し訳ありません。ですが、これは大事なことですから、今日だけ頑張っていただけますか？」

　そう真面目な顔で言われては嫌ですとも言えない。

「う……はい……」
「大体で構いません。例えば、二十代のうちは仕事に励みたいとかそういう希望はありますか？」
「そう、ですね。まだ、もうしばらくは仕事に打ち込みたいです。でも、三十代になるとそれはそれで体力的に大変そうな気もするので、二十七、八くらいが理想ですかね？　今のところは」

　正直結婚したばかりで、まだ子供のことは考えられない。まったくピンと来ていないが、美咲は何となくの想像で答えてみた。

「わかりました。今のところは、ですね。その年になったらまた変わるかもしれませんし、子供が何人欲しいかによるところもあると思います。ただ、少なくとも今は仕事に打ち込みたいという確かな気持ちがおありのようですから、今はそこを優先しておきましょう」
「はい」

　聡一が理解を示してくれたことに美咲は安堵の息をついた。ちゃんと美咲の仕事のことも考えてくれたのが嬉しい。

「私もあなたとの子供を持てたら、それは大変嬉しく思いますが、絶対に今すぐというわけでもありません。しばらくは二人の時間を大事にして、子供のことはまたしばらくしてから考えましょうか」
「聡一さん……はい、そうしたいです」

　想定外の会話にどうなることかと思ったが、なんだかんだで聡一が美咲を大事に想ってくれているのがわかって美咲はキュンと胸を高鳴らせた。

「美咲さん、恥ずかしいのに頑張ってくださって、ありがとうございます」
「……いえ」

　またあの慈愛に満ちたまなざしを向けられるが、面と向かってそんなことを言われるととても恥ずかしかった。
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